読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

星空と、色えんぴつ

日々の小さな発見や、ちょっと面白いこと、楽しいこと。

映画字幕翻訳者 戸田奈津子さんの講演会に行ってきました。

映画鑑賞 講演会

みなさんは映画館で洋画を観る時、

字幕版と吹き替え版、どちらを選びますか?

私は基本的に字幕版で鑑賞します。

たまに、気に入った映画を、字幕版・吹き替え版両方で観てみると、

翻訳が違って面白かったりします。

目で読む字幕と、耳から入る吹き替えの違いからでしょうか。

                                                       

前置きが長くなってしまいましたが、

山口県セミナーパークで、

先日、「字幕の中に人生」という演題で開かれた、

戸田奈津子さんの講演会に行ってきました。

字幕翻訳者として、よくお名前をお見かけすると思っていたら、

1500本以上の映画を担当されてきたというのだから、凄いです。

受講の申し込みが多くて、当日は会場にお客さんが入りきらず

別室からモニターで講演を聴いていた方々もいらしたとか。

会場でお話を拝聴出来てラッキーです。

 

時代による映画の変化や翻訳の大変さ、

有名な監督さんや役者さんとのエピソード、

映画字幕翻訳者の夢が叶うまで20年(!)もかかったこと、

(このお仕事でご飯を食べている方は、今も昔も10人足らずだそうです。

ただ、昔は男性ばかりが担当していて、なかなかお仕事を得られなかったとか)

……などなど、興味深いお話が色々ありましたが、

個人的に一番気になったお話は、字幕とは少し違うところでした。

 

最近では、

漢字が読めない、字幕のスピードについていけない若い人たちが、

映画を観るとき、みんな吹き替え版を選んでいるのだとか。

戸田さんは「映画を観る人が減るのは時代の流れだから仕方ない、

でも、日本人が日本語を読めなくなるのは許せない」と

憤っていらっしゃいました。

 

たとえば、字幕に『安堵する』という言葉を用いると、

映画会社から、「難しい漢字は、観る人が読めないから、

『安心する』にしてほしい」と注文をつけられたそうです。

 

でも、『安堵する』と『安心する』では、気持ちが違う。

若い人たちに合わせて『安堵する』という言葉を消してしまうと

日本語が死んでいく……という戸田さんの主張には、

かなり共感してしまいました。

 

豊かな語彙があってこそ、

私たちは、自分の心の動きや感情をより濃やかに伝えたり、

他人の気持ちを深く想像したりできるのですよね。

 

言葉の数が減っていってしまうことにより、

表現の幅をせばめられるのは、非常に残念なことだと思います。

私は未熟な物書きですが、自分なりに、

やはり言葉へのこだわりも大切にしたいし、

もっと多くの語彙を使いこなせるようになりたいと

あらためて思いました。