「カエルの声はなぜ青いのか? 共感覚が教えてくれること」
……という本を読みました。
(ジェイミー・ウォード/著 長尾力/訳 青土社/刊)
声が「青い」だなんて、まるでポエムのようですが、
これは詩的な本ではなくて、科学的な本です。
冒頭に、カエルの鳴き声が青いと主張する
小さな男の子が登場します。
そこでは、「色聴」という、耳慣れない言葉が登場します。
音や、文字、数字などに固有の「色」がついて見えたり……
味に対して、丸いとか尖っているといった「形」を感じたり。
あるいは、言葉によって違う「味」を、本当に口の中で感じたり。
そうした、通常考えられる感覚とは別の、
もうひとつの「感覚」を持つ人たちがいるそうです。
その感覚を、「共感覚」といいます。
共感覚研究の第一人者である著者は、
共感覚は「異常」ではなくて、
「もうひとつの現実」だといいます。
共感覚を持っていることの利点もあり、
持っている人も、それを「なくしたい」と思わない人が多いとか。
しかも、仮に150人の知り合いがいるとすると、
そのうちの6~7人に、
五感のうちの1つを含む共感覚者がいる……
という記述もあったので、
きわめて珍しいというわけではないのかも。
人によっては、自分の身体の周りに、
曜日がずらりと並んで見えるとか、
とてもユニークなことが書いてあって、
「本当?」と、にわかには信じ難い感じもありますが、
すごくイマジネーションを揺さぶられてしまいます。
実際、芸術家になった共感覚者や、
自身は共感覚を持っていないけど、
それを熱望する芸術家も多く存在した、とありましたが、
深く頷けてしまうくらい、魅力をおぼえました。
また、この本を読み終えて、
ある意味で、自分の「世界に対する見方」を
もっと見直さなくちゃな、と思ったぐらいに
響くものがありました。
というわけで、次回も「共感覚」のお話を
続けさせていただきますっ。