前回、「ホログラムが夢の世界を見せてくれたらいいのに」
……という記事を書きましたが、
なにを能天気なことを書いていたのだろう、と思わされました。
この小説は、仮想現実の恐怖を描くミステリーです。
私が読んだのは文庫版ですけど、
ハードカバー版は30年前に出版されたので
もう古い小説と言ってもいいかもしれません。
五感をともなう仮想現実のゲームを舞台にした小説なのですが、
実際にバーチャルリアリティのゲームで遊べる今ならば、
そうしたお話はいろいろ出版されているのではないでしょうか。
それに、「クラインの壺」は昔ドラマ化されていて。
最後のあたりだけ観ていたので、
実は、オチがどうなるかは大体覚えていました。
しかし、覚えているのにもかかわらず、心底怖かったです。
主人公がゲームの世界に入っていくまでのプロセスが
非常に丁寧に描写されていて、
リアリティをおぼえるせいもあるかもしれません。
そのゲームの中で徐々に発生してくる異常な事件に
とにかく背中がざわざわして。
もしもこのようなゲームが実際に開発されたなら。
ゲーム会社が良心的であれば、
どんなに夢のある世界でも作ってくれるでしょうが、
悪意があれば、ゲームに入ってしまった無力なプレイヤーは
どんなことをされてしまうか分かりません。
作中では敵に捕まって拷問を受ける可能性まで示唆されます。
もしもドラマ版を観ていなかったとしたら、
衝撃の結末をどれだけ楽しめただろう、とも思うんですが。
私、怖い話は大の苦手なので、
もしもオチを知らなかったとしたら、
途中で投げたくなったかもしれません^^;
眠れないからと夜中に読むんじゃなかった(笑)
でも、最高に面白い小説でもありました。
この記事を読んだ後、「クラインの壺」を読む方が
絶対にいないとは言い切れない(と思う)ので
これ以上のことを何も書けなくて残念です……!
普段、あまりミステリーを読まないのですが
岡嶋二人さんの他の小説ももっと読んでみたいと思いました。