星空と、色えんぴつ

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戦争の原因は「愛情ホルモン」……?(その2)

前の記事の続きです。

愛情ホルモンといわれるオキシトシンが、

「仲間を守りたい」という気持ちゆえに

戦争を起こす衝動にもつながってしまう。

では、どうやったら

人間は戦争を止めることができるのか?

……という話でした。

 

その番組で言われていたこととして、

人間は、オキシトシンの作用が大きくなるほど

仲間を守りたい気持ちも高まるとともに、

自分の仲間以外の人を「線引き」して

犠牲になっても仕方がないと

考える傾向も強まってしまう……

そんな実験結果も出ているそうです。

 

ただ、その線引きは、

修正することも不可能ではないのだそうです。

 

今まで仲間ではなかった

ほかの国や地域の人たちでも、

助け合うことで、かえって自分たちの仲間が

生き残りやすくなるということが分かれば、

仲間のためにも戦争はしない方がいい、

という考え方を持つことができます。

 

実際に、その考え方で

紛争を止めることができたケースも

あるのだそうです。

もちろん過去の遺恨を乗り越えるのが

大変なことであっても。

 

 

……この話を聞いて思い出したのは、若い頃に読んだ、

井上ひさしさんの「吉里吉里人」という小説です。

東北の一部の地方が「吉里吉里国」として

日本から独立をはかるという

壮大な物語でした。

 

読んだのが昔ですし、

大長編で、おいそれとは読み返せないので

うろ覚えで申し訳ないのですが。

 

風邪の特効薬だか、予防薬だったか、

ありそうでないけれど

多くの人にニーズのある薬を

吉里吉里国では開発している、という

作中の説明があったように覚えています。

 

もしも吉里吉里国を滅ぼしたら、

他国の人たちも、その薬を手に入れることが

二度とできなくなってしまいます。

それによって、他国から攻撃されることを防ぐ

吉里吉里国の自己防衛策のひとつだったのです。

 

国を守るための手段は、

軍事的な作戦だけとは

限らないのだということが、

読んだ当時、衝撃的に思えました。

(そのわりには、うろ覚えですが……)

 

 

つまり、日本を滅ぼして

技術や文化が失われてしまったら、

逆に自分たちが困ると思われるほど、

世界から必要とされる国となれたら……。

もしも、それが戦争の抑止力のひとつになれたら……。

 

夢物語かもしれませんが、

愛情ホルモンが戦争につながらず、

より助け合いの輪を大きくしていく道も

私たちにはあり得るのだと信じたいものです。